香椎ペットクリニックBLOG

2022.10.15更新


以前に「再発性上皮びらん」という、
なかなか治らない眼の病気のお話をしたことがあります。
これは角膜の上皮がうまく修復されず、
治療が長期的な経過を辿ることが多い疾患です。

 

通常の角膜損傷に対して行う点眼治療では回復せず、
自身の血液から作製する特別な点眼剤(血清点眼)や、
遊離している角膜上皮に対する
局所的な処置(デブライトメント、格子状切開)などを
組み合わせて治療していきます。

 

先日、この疾患の治療をしたワンちゃんをご紹介いたします。
当初は単純な角膜損傷の治療を行っていましたが、
治療の反応が思わしくなく、
治療開始から1ヶ月が経過していましたが、
まだ治癒しておりませんでした。

 

抗生物質の点眼剤や血清点眼、
遊離した角膜上皮を綿棒でこそぎ落とす
デブライトメント処置などを行いましたが改善が見られず、
角膜上皮にあえて傷をつける格子状切開を行うことになりました。

 

こちらが施術前の角膜の状態です。
緑色に染まっている部分は角膜上皮が遊離している部分です。
これが小さくなったり(改善)、大きくなったり(再発)を繰り返していました。


高木目1

 

こちらが格子状切開を行った後の写真です。
縦横に無数の引っかき傷が確認できるかとおもいます。
施術後に動物用コンタクトを設置し、瞼を軽く閉じて施術終了です。

これに点眼治療も加えて経過を見ていきます。

高木目2

 

こちらが施術2週間後の写真です。
半分以下に縮小していることがわかります。
あと一息というところです。

高木目3

 

しかし、この病気は再発を繰り返すことが多く、
しっかりと回復しても、再発に注意していかなければなりません。

気になることがあればご相談ください。

 

獣医師 高木

投稿者: 香椎ペットクリニック

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